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 セミナー概要  第15回~第20回

第15回 「音源を覗く」

NHラボから音源と空間、時間、形の話をしました。

 中島さんが普通の聴取室としての基本条件を説明。一次反射音が音場に与える影響について説明して、音源側の虚像群、側方向の虚像群、聴取側の虚像群を分けて、その役割をしめされた。反射音の遅れ時間の効果も考え、聴取点側は拡散体で虚音像を作らない。音源側は吸音体で聴取点で音像を作らせない。側壁側は前後壁を分けて考え、反射音、音像の質をコントロールすると説明している。

 NHラボからは、聴取室で音源の種類や設置場所の変化で音色や音像の変化を感じる現象を調べた報告をした。また、コーンスピーカを四角いキャビネットに入れた場合とたまごかたキャビネットに入れた場合、TGAスピーカ(たまご形キャビネットに楕円凸振動板ユニット)での壁からの反射波の影響の違いを、時間差、波形の相関係数などで示しています。

 吸音材の有無による壁面の影響を測定し、中低域から中域までの相関の改善、音圧の乱れの減少、試聴による音の濁りを確認した。

代表的な居間、ホール、教会の音圧分布、指向性パターン(ハリネズミ)を示した。また、有名なムジークフェラインザールの各種特性から、その細かい音源分布の良さを確認した。また、ベラネクの著書に有るホールに響きと演奏の速度の関係にも触れ、作曲家がどこのホールで、誰の為に曲を作り演奏したかに触れ、これらにも注意を払う必要が有ることを確認した。録音時の部屋の形と再生時の部屋の形を眺め、十分相関しているか考えた。また、スピーカの放射特性、指向性にも触れ聴取時の音場の拡がりを考察した。

第16回  「ハイレゾを楽しむ」

 KORGさんからNutubeの開発についての説明とKORGさんのソースを使って卵スピーカを聞いていただきました。

 Nutubeは蛍光表示管が3極構造であることから、それを応用し直熱双3極管楮を作り、低消費電力、低電圧駆動、高品質の利点を生かした優れたリニアリティーの電気特性を得ています。面白いデバイスです。

 また、中島さんからCD制作システムの説明もしていただきました。

第17回  「ハイレゾを覗く」

 中島さんが超高域周波数でのMIC特性について述べ、ついで音楽制作の立場からハイレゾルーションの魅力を説明頂きました。

 中島さんがハイレゾについて説明された。光ディスクとレゾルーション、聴覚と楽音、生活音のスぺクトラムからは意外と多い40~50kHzまでの成分を示された。1982年ころの2ウエイ方式単一指向性コンデンサマイクのきれいな周波数特性と指向特性、また無指向性コンデンサマイクの高域特性の軸上特性とランダム入射特性の違い、マイクグリッド有り無しの特性をしめし、録音音場と録音成分を考えさせられた。マイクの固有雑音の機械系雑音と電気系雑音、総合雑音にも触れている。ついで空気吸収による伝搬距離当たりの減衰量を説明し、温度と湿度の影響もしめされた。

 ハイレゾによる音楽制作の魅力としてハイレゾで伝える音楽感動についてお話しいただいた。ハイレゾの各フォーマットの音質は音の基準が変わると言うことである。スタジオ録音制作の現場では基本96kHz/24bitで録音している。

 アナログの旧音源はデジタルでハイレゾ化を行う。録音現場の拘りは、目指す音楽(サウンド)方言を創り出す機材選択から始まる。デジタル技術を駆使した音創りを行う。フルデジタル録音システム、マルチマイク位相調整、ピッチコントロール・クロック精度を大切にする。

   ハイレゾならではの音表現力は、解放感、音場空間、音色感、高解像力、余韻感です。演奏者の感情・気・緊張感・・を音で感じれるようにしています。

 実際の録音素材で44.1kHz16bitとハイレゾ96kHz/24bitの比較試聴を行った。ついでDSD11.2MHz/1bitとPCM384kHz/32bitの音質体験も行いました。ハイレゾの可聴帯域での音質は、低域安定、音の芯、音色感、奥行き感にあり音の基本が改善する。超高域での音質は、解放感、透明感、艶にあり表現力が増すようです。

  今後の方向としては、PCMは96kHz/24bitでDSDは5.6MHz/1bitが推奨する提案としています。究極のハイレゾリューション/音世界はPCM384kHz/32bit、DSD11.2MHz//1bitを見据えています。この後、究極のハイレゾソースをデモし、音楽を表現する器が大きくなる楽しみを強調、器が大きくなることにより、音楽を伝える力が増すとしています。

 

第18回  「スピーカとヘッドフォン、イヤホン」

 S’NEXTと中島さんに説明頂きました。

 ユーザーの声を聴いてみると、スピーカで本格的な聴取体験が無いとか、頭内定位についてもネガティブに捉えていないなどの意見が有った。ついでしっかりと調整した部屋でスピーカを聞いてもらうと、初めてスピーカの良さを知った、音場の意味が分かったとの事です。それでもイヤホン、ヘッドフォンの方が音楽と一体感が有り、音数が多く、良い音だと感じる方も多いようです。

 次いで市場動向に触れ、平均単価、価格別売り上げ、技術動向の説明も行われた。新技術としては耳の形をスキャンニングして最適な音にセットするとか、シェアー機能とか、次世代ノイズキャンセラ―とか、ウエアラブルとか、ヘッドトラッキングなどの説明が有りました。

 次に中島さんより特性の説明が有りました。イヤホンの特性として、速度形、変位形、制動付き変位形、基本的なスピーカとイヤホンの動作の違い、効果の違いの説明が有った。イヤホンは振幅が小さいのでひずみも小さく、音場がへばり付く(頭内に)欠点が有るが、今後のダミーヘッド収音などで新たな変化が見込まれる。また、ニアーフィールド再生の可能性も示唆されています。

 

第19回「たまごでサラウンド」

 中島さんからサラウンドの概要と留意すべき点の整理をしていただいた。次いでサラウンドのマイクアレンジを説明し、実際に卵スピーカでサラウンドを試聴いただきました。

 中島さんのサラウンド説明はSQ方式4チャンネルステレオから、5chマルチチャンネルステレオ、さらには22.2マルチチャンネル音響方式におよび、5.1chと22.2chの関係について、方向別の重み係数の説明をされた。またK特性フィルター(頭部を球体としてモデル化した、方向によらない数は数フィルター)、方向別の重み係数を使い22.2ch音響ラウドネスメーターの構成を図示されています。

 水平面内の音源方向と両耳レベル差、時間差の関係(ダミーヘッドによる測定)も図示している。到達時間差、スピーカの音場ひずみも再度説明され、音像の質と拡がりについて、正弦波とノイズを用い違いを図示されている。

 サラウンドを録音する為に色々な配置のマイクアレンジが採用されている。IRT-X、INA-5、W-A/B、等各種有る。オーケストラのホール収録のための5種類のサラウンドマイクアレイ、3種類のステレオマイクアレンジ、7種類のホール残響を収録するためのアンビエンス・アレイ等を比較出来る様な収録実験の報告も有り興味深い。Fukada Tree、Omni8、Double MS、Holophone H2-Pro(HOLO)、Decca Tree、Omni directionalmicrophones(3O)、5 Cardioids(5C)。アンビエンス用としても、HSQ-N(ear)、HSQ-M(idle)、IRT cross、OSQ-M(idle)、OSQ-F(ar)、Asahi 、C-Pair等多数ある。

 世界的のも評判の高いムジークフェラインザールの断面図とその測定例を示し、仮想音源の広く均一に分布している様子を再確認した。

 卵スピーカにより再生された5.1ch音場の拡がりを試聴すると同時に、たまごにわざと板を付け通常の角型バッフルをもつスピーカを使用した場合の音場の違いを確認いただいた。

第20回 「たまごのニューレシピ」 

 中島さんによる音・振動分布、ランダム波によるスピーカ振動構成、小振幅時と機械系のひずみ例が説明された。ついで卵スピーカをよりおいしくする調理法が紹介されました。

 音・振動分布では可聴域の近くに生体音も有り、騒音、振動そしてひずみと感じる領域があること、そして楽音域が可聴域の外まで伸びていること、高域には不快音として感じる領域もあります。ですからわざわざ聞こえなくしている領域も有るので、再生帯域をうまく広げる必要が有ることを示しています。またランダム波によりスピーカの振幅を見ると通常の測定に使うサイン波入力と違い、ランダム波、ピーク波では高域の瞬時入力が予想以上に大きいことが示されています。高い周波数では小振幅ですが、小振幅時の非線形ひずみは大きく、解決すべきポイントです。スピーカの振動を見ても通常の振動以外にユニットには磁気回路にも、フレームにも共振がのっており、この点も解結すべき点としています。

 たまごスピーカのニューレシピとしてさらなるおいしくする改善点を取り上げた。以前宮下シェフにより、制振、内部音圧低減、ダイレクト接続、スーパーツイータ追加、LCRフィルター、による改良が行われました。オーディオ的にも改良のポイントは、振動、電源、電気伝導性能などです。聞く部屋のポイントとしては、低域吸音、遮音性能、拡散音の質向上、デッドフロントなどの点の改善を説明しました。拡散音をうまく利用することが大切なのですが、その拡散音の質が良くないといけないので注意が必要です。

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